金魚妻・絨毯妻(10巻)ネタバレと感想

「金魚妻」10巻より絨毯妻のネタバレと感想です。

文字のみのあらすじとなっておりますが、ネタバレ注意です！

流行り病で父親を亡くした大学生の佑紀。佑紀は母親や弟の龍太とごみ溜めの家で暮らしながら、なんとか生活しています。忘れ物をした龍太のために水族館に来た佑紀が見つけたのは、ペンギンの相関図を見ている紀恵の後ろ姿でした。

紀恵は父親の本妻。つまり、彼女からすれば佑紀は夫の浮気相手の息子。 普通なら受け入れられる存在ではありません。しかし紀恵は佑紀の母親どころか、他の浮気相手の存在まで知っていて、それを受け入れていました。

佑紀と父の墓参りを済ませた紀恵は、遺産分割協議のために佑紀を自宅に誘います。自分が亡くなったときの遺産相続問題に紀恵を悩ませないために、父は佑紀と弟の龍太を認知していました。父が作った遺言公正証書は非常に一般的な内容で、佑紀と龍太には4分の1ずつ財産が渡る予定です。

しかし、問題が一つ。未曽有のパンデミック禍の中で、父は大量の買い付けをしていました。借金までしていたため、佑紀たちに渡す現金は現在手元にありません。そこで紀恵が提案したのは、彼女が住んでいるマンションの現物渡し。

しかし、佑紀はそれを断りました。今のゴミ屋敷がただ広くなるだけだからです。結局遺産は、紀恵が手元にある絨毯をすべて売りさばいてからという話でまとまりました。

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話も終わり、佑紀が食べ始めたのは紀恵が遠足に行く龍太のために用意したお弁当。仕事や学校に忙しい佑紀たち家族が龍太のお弁当を用意できないと思い、紀恵がわざわざ作って水族館まで持って行ったものです。

なぜ、ここまで愛人の子供に紀恵が気を配るのか。不思議そうにする佑紀に紀恵は、自殺した兄のことを話します。仕事に忙しい両親に放置気味に育てられた兄は、その胸に空いた穴に苦しみ抜け出すことが出来ずに自ら命を絶ちました。

子供の時にできた心の穴をふさぐのは大変です。それをよく知っている紀恵も、また同じ穴を持っていました。穴を塞いでくれたのは佑紀の父。そして佑紀の母や他の浮気相手の穴も、佑紀の父は塞いで回りました。まるで魔法のじゅうたんに乗ったヒーローのように……。

"この部屋は今から千夜一夜の世界になるから、入らないでね。"

そう笑った紀恵はリモート商談があるからとアラビアンな衣装に着替えて、部屋の中へ消えていきます。 千夜一夜とは、女性を娶って一晩過ごした後殺してしまう王を戒めるために派遣された聡明な女性が改心させる話。しかしその詳しい内容はあまりにもセクシーで、子供に聞かせられる話ではありません。

しかしそれでも佑紀は好奇心に負けて、紀恵のパソコンの中身を漁ってしまいます。そこには淫らな行為を、父ではない男性たちと楽しむ紀恵の写真が……。他にも無数のデータが中にはあります。

ゆっくりと立ち上がった佑紀は、紀恵が消えて行った部屋の前に立ちます。 もし、この扉を開けてしまったら？ もし、相手の客が変態で紀恵と行為をしろと迫ってきたら？ もし、紀恵に迫られたら？

頭の中に浮かぶ無数の妄想を振り払うように、佑紀は自宅に帰ろうとします。 しかし、その首元に魔性の指先が伸びて––––––。

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おかしな関係過ぎて、頭が痛くなりそうでした。紀恵には夫がいて、その夫には浮気相手がいて、その浮気相手には2人の子供がいて、それを紀恵は受け入れて、夫は認知までしてる？ 正直おかしな状況ですよね。でも、不思議なおかしな関係でも登場人物全員がある程度腹落ちしているため、うまくまとまっているお話でした。
最後に佑紀に手を伸ばしたのは紀恵でしたのでしょうか？ それともこのおかしな関係に佑紀がもっとおかしな状態で関わる暗示だったのでしょうか？

多くの男と交わりながらも夫を得た紀恵。そして、そんな夫の忘れ形見である佑紀。淫乱と夫の兄弟から責められていた紀恵ならちょっとやりそうとか思ってしまいました。
不思議な関係ですが、それが当たり前のように見えるお話でした。